茶の湯 blog

茶の湯の魅力(私感です)

心なごめる茶の湯

7月26日に、心地よい「ぬるま湯の人間関係」なんて書きましたけど、ぬるま湯って刺激的なところがなく、穏やかで気持ちいいんですよね。

でも、人は欲張りですから、刺激を求めたり、心が高揚することを求めたりするんですけど、それは「心配がない環境」に居られる場合じゃないでしょうか。

さて、2000年まで刊行されていた「アサヒグラフ」ですけど、昭和19年6月21日号の表紙は、野点をしている飛行練習生の写真です。
表紙全面を飾る写真には、
「猛訓練の余暇に『野点』を嗜む海軍航空隊勇士
 大津海軍航空隊にて  松尾英世撮影」
という解説文が付されています。
あのゥ、この年の10月には神風特別攻撃隊の初出撃があり、いわゆる特攻隊による攻撃が始まるんですね。

私がその時代に生きてたとしたら、「ぬるま湯の人生」とか「ぬるま湯の人間関係」に、どれほどあこがれるだろうか! ・ ・ ・ って思いましたし、兵隊ばかりじゃなく、一般の人もそんな気持ちだったろうなぁと想像しました。

現代でも、職場や集団の中で過酷な情況を耐えてるような人って、多いと思いますからネ、そういう人の身になって考えてみれば、気持がホッとする場面って、とても貴重なんじゃないでしょうか?

ですから、気が休まり、くつろぐことができ、心なごめるのが「茶の湯の場」だったとしたら、茶の湯がすばらしく感じられるんじゃないかなあと想像しました。

そんなわけで、取り柄もなく、見栄えもせず、まだるっこい茶の湯であっても、人の心を和らげ、「安心していられる」場を提供することができるなら、それも「すばらしい」茶の湯だと言えると思います。