茶の湯 blog

茶の湯の魅力(私感です)

扇子は昔から? (1)

人には「思い込み」っていうものがあると、扇子のことで実感しました。
茶を習い始めた時、扇子は「必須の道具」と言われ、それ以来、常に携帯して稽古してますから、扇子を持つのは「あたりまえ」だと、無意識のうちに思っちゃってたんですね。

ですから、江戸時代初め頃の話にビックリしてしました。
ある宗匠の茶会で客は武士四人、濃茶の後で広間に移り、薄茶を飲みながら、ゆったりと茶の湯談議が行われたというんです。
なお、「茶の湯談議」というのは、今で言う「茶の稽古」だったそうでして、現代の指導風景とは全く違うってことを知りました。

その場で一人の客が、宗匠にこんな質問をしたそうです(現代語訳)。
「扇は、茶室に持って入ってよいのでしょうか?」
宗匠の答えは「かまわないよ」 ・ ・ ・ です。

アノ、「かまわないよ」ってことは、つまり、席中で扇子を使う作法というのは、元来、「無かった」ってことですよね?

その頃までは、扇を席中に持ち込まず、茶室の外に置いて入室するのが習いだったようで、「扇を膝の前に置いて挨拶する」のは、江戸時代になってから始まったそうでして、つまり、私がいつの間にか先入観として持っていたイメージとは違ったものだったんですね。

それで、続きは次回に書くことにします。