茶の湯 blog

茶の湯の魅力(私感です)

珍しい茶室

昨年営業終了した「ホテルニューアカオ」の記事を見ました。
今は現代アートの展示場に使われたりするそうで、茶室の写真を見て「珍しいなあ」と思いました。
三畳の茶室で隅炉なんですけど、何と何と、炉の前方に畳が一枚 !  

あのゥ、水指を置く場所の向こう側にさらに一畳あるわけで、実際の茶室としては初めて見るタイプでした。

茶室の写真から想像して平面図を描いてみたんですが、「道」は道具畳、「T」は床前に敷かれている畳とでも言いましょうか、「客」は客畳です。青で囲った部分は床、赤で囲ったのは炉、緑は茶道口、茶色は貴人口、バラ色は躙口です。

さて、他の茶室の例も考えてみますと、ミュンヘンにある閑松庵は道具畳のすぐ前に貴人畳がありますし、京都国際会館の宝松庵も同じですね。
古い茶室では寒雲亭でも向切の炉の先に畳が敷いてあります。
でも、寒雲亭は下座床ですから、点茶する亭主の眼前に正客が座るってことはないだろうと想像します。
しかし、閑松庵や宝松庵、そしてホテルニューアカオの茶室は風炉先床ですから、亭主の目の前に床前畳(貴人畳)がありまして、まあ、そうしている理由は推測できるんですけど。宝松庵の場合、客は十五人まで可ですから、十五人なら貴人畳にも正客以下、三人座ることになるだろうと思います。

私が思いますに、こういう広間では客が多い場合、貴人畳を遠慮するなんて不可能だし、点茶する亭主の目の前で人が立ったり座ったり、菓子や茶、道具類をやりとりすることになるのかなあ・・・って、ここまで書いたところで、突然ですが話を打ち切ります。

結局、行き着くところは、心情的に小間の茶に惹かれますってことで、だからこそ、小間の風炉先に畳を敷くというホテルニューアカオ茶室の発想は、私の想像を超えたものでした。
しかし、いろんな面を考えてみれば、懐石には好都合かも? ・・・なんて思われましたから、また次回に。