茶の湯 blog

茶の湯の魅力(私感です)

2022-08-01から1ヶ月間の記事一覧

茶人さまざま(2)

前回の続きですが、桑田忠親は、松永安左エ門の別荘だった柳瀬荘の入り口にある番小屋に疎開していたそうでして、柳瀬荘には長屋門があるんですけど、その長屋門のことだろうかと疑問ではありますが、確かめてはいません。 それで、桑田忠親は松永安左エ門の…

茶人さまざま(1)

茶の湯について、桑田忠親の本に「最も重んぜられるのは、人と人との温かい心のかよいであり、なごやかな、静かな雰囲気」云々と書いてありまして、私は大いに賛成です。 でも、茶の湯に求めるものは人によって異なりますから、「茶道の玄旨」や「和敬清寂の…

茶の湯は融和の実現

数百年も茶の湯が続いてきたのは、「好む人」がいたからだろうと、私は思います。 でも、茶の湯が好きな理由って、人それぞれでしょうね。 私の場合、人に対する好意や敬意をストレートに表現できるツールが茶の湯だと考えています。 何しろ、自ら料理して給…

日常的に楽しめる作法

「日常茶飯」という言葉がありますけど、食事をしたりお茶を飲むという日常生活の一部分を切り取って、「茶の湯」という「楽しみ」に仕立て上げたってことは、すばらしい工夫だと思います。 なにしろ、平凡な日常の一端を芸道に高めたのですから、すごいなあ…

権威に服従する利害得失

山上宗二は打ち首にされ、 掃部頭瀬田正忠は豊臣秀次切腹時に処刑され、 利休は切腹、 古田重然も切腹、 ・ ・ ・ 権力者に仕えるのは命がけだった時代もありました。 戦国時代は人の命が重視されてませんでしたけど、戦中だってねェ。 さて、権力者というも…

「決められてる」から好い

「制約を受ける」より「自由」が良いというのは、特定の場面にはあてはまりますけど、全面的にそうだとは言えないと思います 世の中には、「規制されてる」からこそ安心して生きられる情況もありまして、例えば刑法で犯罪を防ごうとする社会のほうが、無法地…

映画「日日是好日」(1)

夏目漱石が小説の中で「煩瑣な規則」と書いている茶の湯の「決まり事」ですが、映画「日日是好日」の中に、かわいそうなシーンがありました。 「典子さん、今日は竹の蓋置でいいですか?」 そんなふうに聞かれて、ヒロインの典子は答えます。 「いいと思いま…

TVドラマ「あんどーなつ」(7)

今回もテレビドラマ「あんどーなつ」第11話に関してですが、町内の人々が集まってお月見が行われます。 お供えも立派なものでした。 ただ、ドラマでの供え方は、お月様に向けるべき正面を、人々が集う部屋のほうに向けてるんじゃないかなあ ・ ・ ・ と違…

TVドラマ「あんどーなつ」(6)

テレビドラマ「あんどーなつ」第11話に、竹蔵が葛生地で餡を包むシーンがあります。 ヒロインの奈津は竹蔵の手子を務め、葛生地を渡すんですけど、受け渡しのタイミングが合いません。 それで、「息を合わせる」練習をするわけですが、その「息が合う」っ…

TVドラマ「あんどーなつ」(5)

テレビドラマ「あんどーなつ」第10話で、菓子職人の竹蔵がお茶の先生を訪問します。 注文を受けた稽古用の菓子を届けるのですが、先生にご挨拶も兼ねています。 その彼が袴姿でしたから、「あらら」と思いました。 ずいぶん気合が入ってますねェ。 そして…

TVドラマ「あんどーなつ」(4)

テレビドラマ「あんどーなつ」第9話ですが、和菓子職人新人技能コンテストに出場する奈津が、ヘラ菊の技を練習します。 親方は、奈津が作ったのを見て「ダメ」だと言うんです。 そして、「こさえながら、ちゃんと食べる人の顔を思い浮かべたか?」と聞きま…

TVドラマ「あんどーなつ」(3)

テレビドラマ「あんどーなつ」第3話で、ヒロイン奈津が、お茶の稽古を見学に行きます。 部屋に入ると、携帯電話で話してる人が居まして、先生はその人を叱り、稽古が始まる前でしたけど、帰してしまいました。 いきなりそのシーンを見ましたから、「何とお…

「食べ合わせ」で思うこと

季節柄、スイカを「出されたら」食べますけど、食べたいと「求める気持ち」はない私です。 それよりも、スイカと聞いたら「食べ合わせ」を連想しちゃいますね。 昔は「食い合わせ」あるいは「食べ合わせ」ということが盛んに言われてまして、そんなことを話…

季節感が鈍い私

昔は、「その季節でなければ得られない」食材がありましたけど、今は、保存の技術が進みましたから、一年中いつでも食べることができる食材がいろいろで、結果として、季節感は薄れると思う私です。 そうなりますと、季節に関係なく「おいしいものはおいしい…

とても繊細な干菓子

宮城県大河原町の「晒よし飴」をもらって食べたのは、何年も前のことです。何と「はかない」菓子なんだ!・ ・ ・ と、食べた時にビックリしました。また、その「儚さ」とは正反対に、強く印象に残った干菓子でした。食べたのはその一度きりですけど、「もう…

昔のフリーズドライ

「全国の有名な和菓子」というWebサイトに「凍み餅」が出てまして、「和菓子」にもなってるのかという感想でした。 凍み餅は、「干し餅」などいろんな名称があり、自然凍結・自然乾燥の方法で、昔から東北地方や信越地方でつくられ、私は「保存食」としての…

三番出汁

林利左衛門の本に、出汁の引き方が書いてあります。昆布とかつお削り節の出汁なんですが、何と何と、「三番出汁」まで取るというのでビックリしました。 一番出汁を煮物、清汁に使うのは当然として、二番出汁は「煮つけ用とします」と書いてあります。で、三…

貧しいメニュー

「食事は飢えぬほどにてたる事なり」が「利休の言葉かどうか」、真相はわかりませんが、そう「思いたい」人や「信じたい」人がいたってことは言えるでしょう。 今年も夏があんまり暑くて、火を使う調理はしたくないし、何より「手抜き」料理だと「手軽でいい…

TVドラマ「あんどーなつ」(2)

テレビドラマ「あんどーなつ」第四話に鰻屋が登場しました。鰻屋の主人は、自分の店で生涯、鰻を焼く人生でしょうね。一方、ヒロインが勤める和菓子店の親方は腕のいい職人で、彼も一生、和菓子づくりで生きていくと思います。 ところで、そういう生き方を、…

TVドラマ「あんどーなつ」(1)

テレビドラマ「あんどーなつ」第三話を見ました。大学茶道部からの注文を受け、菓子職人の竹蔵は茶会用の生菓子をつくることになりました。彼にとって「初めて」の新作菓子なんです。苦闘の末「彼独自の」、線香花火をモチーフにした菓子ができたんですけど…

扇子は昔から? (2)

扇子は茶の湯に「役立つ」道具だったからこそ、客の持ち物として定着してきたんだろうと想像した私でした。 他の例で言えば「正座」もですね、茶会で普通になってきたのは江戸時代後半以降かも知れませんけど、私は正座って、茶の湯にすごく適した面があると…

扇子は昔から? (1)

人には「思い込み」っていうものがあると、扇子のことで実感しました。茶を習い始めた時、扇子は「必須の道具」と言われ、それ以来、常に携帯して稽古してますから、扇子を持つのは「あたりまえ」だと、無意識のうちに思っちゃってたんですね。 ですから、江…

茶入の口を拭かなくても

前回に続けて茶入の話ですが、拝見を乞われて茶入を出す時、茶入の口を「拭きます」けど、理由は「そう習ったから」なんですね、私の場合。もちろん、「なぜ拭くのか」は、言われなくてもわかっている「つもり」でした。 ところが、袱紗で茶入を拭いた後のこ…

袋無しで茶入を使う

茶道具にはランキングというか、格付けみたいのがあって、例えば茶入はランクによって違う扱いをしたり、茶器を濃茶に使う場合は袋に入れ、しかも、袋の扱いが茶入の時とは異なるとか、まあそんなわけで、濃茶に使う時は茶器ですら袋に入れる ・ ・ ・ わけ…

見立てを躊躇したこと

最上位の道具は茶壺だったそうですが、やがて茶入が取って代わるとか、掛物も重視される道具であるとか、まあ、時代により人により、扱いはさまざまでしょうけど、茶碗が茶入より下位というのは不変で、茶碗単独では床に上げることができないので、飾る場合…

安心をめざしたい

「鯛よりも目刺のうまさ知らざるや」 鈴木真砂女 駄洒落の表題ですみませんが、安心を「目刺し」「鯛」です。鈴木真砂女さんは著書に、「私は店では、一日中白い割烹着をつけている」と書いますけど、小料理屋経営でも一生懸命だったんですね。 真砂女さんの…

居心地の良い空間

今日は妙心寺の退蔵院に関してです。「かこい」と呼ばれているんでしょうか、手元の辞典(昭和50年発行)には「廊下の一部を囲って」と書かれてまして、人に知られないよう、「目立たない工夫をして」つくられた茶の湯の一角があるんですね。 「かこい」は…

茶の湯は楽しい

BS日テレの「春夏秋冬 ・・・ 京都物語 千年の都で禅を探す旅」を見ました。その番組で、妙心寺の桂春院に「既白庵茶室」があることを知りました。安楽島住職によりますと、妙心寺はとても修業が厳しくて、茶の湯、香、詩歌などは禁じられていた時代があっ…

将来への夢と希望

「折おりの茶趣」という本の中に、1月の席に「夢」の軸を掛ける取り合わせの例が出てました。具体的な取り合わせが示されてるんですけど、それの取り合わせ例は省略しまして、例示に先だって書かれている文章を、抜き書きで紹介します。 「若い人には明るい…

思考の飛躍と弊害

「夢」の軸を掛けて亡くなった人を偲ぶことは、「ああ、なるほどなァ」ということで、範となるのも当然のことだろうと思います。 それで、「範を真似る」ところまでは、「良いことの伝播」であって、すばらしいことなんですけど、その後に問題が発生する事態…