茶の湯 blog

茶の湯の魅力(私感です)

2022-09-01から1ヶ月間の記事一覧

茶の湯の心と形(14)

長次郎の黒茶碗について、他と比較して感想を書こうと思いまして、格好の材料が十三代三輪休雪の茶碗「エル・キャピタン」シリーズだと思ったんですけど、アノ、私はテレビで制作する様子を見ただけでして、本物は見てないんですけどね、でも、その茶碗をは…

茶の湯の心と形(13)

利休の時代、井戸茶碗は評価が高かったようですが、利休は井戸茶碗が茶の湯に最適とは考えず、長次郎の黒茶碗を愛用したんでしょうけど、そういう利休の気持って、まあ、想像するしかないし、その想像も当たってるかどうか・・・というより、「ほとんど的外…

茶の湯の心と形(12)

茶碗を写真で見るとかテレビで見ても、どの程度知ることができるか疑問です。 展示されているのを見たらもっとわかるかと言えば、例えばガラス越しに見たくらいでは、よくわかるとは言えないなあと感じます。 たとえば、長次郎の黒茶碗が展示されているのを…

変化してきた茶の湯(12)

前回、三島、刷毛目、粉引(韓国が日本統治下だった昭和の時代に、それらの器は「粉粧灰青沙器」と学術名がつけられました)について書きましたけど、技術の面では高麗青磁や李朝白磁に比べて低レベルです。 でも、製造技術の優劣とは関係なく、茶人はそれら…

変化してきた茶の湯(11)

高麗青磁から李朝白磁に代わる過渡期に、白色の装飾を施したり、「白く見えるように」工夫された器がつくられ、室町時代末から桃山時代にたくさん輸入されたと言います。 三島、刷毛目、粉引などで、白い化粧土の使い方がそれぞれ異なるんですけど、高麗青磁…

変化してきた茶の湯(10)

前回書いた珠光茶碗ですけど、今に伝わるものの一つに「初花」があって、テレビで見たことがあります。 「端正」とはまるで反対、作者が楽しく遊んでつくってるような雰囲気があると思いました。 しかしそれ、「青磁としては粗末」だからこそ、遊んでつくれ…

変化してきた茶の湯(9)

「道具をそろえる」ことが茶の湯の必須条件ではない・・・みたいなこと、前回書きましたけど、もっと言えば、「立派な道具」でなければ「楽しめない」ということでもないってことでしょうね。 それで、楽焼はまさに「前衛」だったと思うんですが、でも、そう…

茶の湯の心と形(11)

お茶をするなら、ちゃんと道具を整えなくっちゃ ・ ・ ・ と思ってた私ですが、その考えに疑問符がついちゃいました。 あの、全く道具類がそろってないんですけど、すばらしく良い雰囲気で茶の湯が行われている写真を見ちゃったからでして、その写真の一部だ…

茶の湯の心と形(10)

びっくりするくらい雰囲気がすばらしい茶の湯の場面を写真で見ました。 「いいなあ!」って思いましたね、心から。 ああ、そんなふうにできたらなあ ・ ・ ・ と、思わず憧憬の気持ちが起こりました。 ところがです、それは「茶の湯の場」ではありますけど、…

変化してきた茶の湯(8)

茶の湯は食事や茶を飲む日常的な行為を儀式化したものと考えることができるかもしれませんね。 でもその「儀式」ってのは「たいへんなもの」で、つまり、「気苦労が伴う」ってことです。 あの、食事とかお茶って「楽しめる」のが一番なのに、それが「儀式」…

変化してきた茶の湯(7)

「安心して」茶を楽しめるなんて、戦国時代の武将などにとっては得難いひと時だったのかなあ ・ ・ ・ なんて想像します。 なにしろ政治の世界では、要人が常に身の危険にさらされてるって、今も昔も全世界で変わらないことですし、特に飲食物には「毒が仕込…

変化してきた茶の湯(6)

天目台の羽に湯を一滴こぼした ・ ・ ・ という今井宗久の失策は「世間の評判」になったと桑田忠親が書いています。 それで、宗久の「弟子がぐっと減っちゃった」というんです。 「それまで宗久の所へお茶を習いに行った者が、みんな利休のほうへ行っちゃっ…

変化してきた茶の湯(5)

今井宗久の台子点前の話を9月12日に書くはずだったんですが、都合で今日になってしまいました。 古流の本格的な台子点前を、秀吉の前で始めた宗久ですが、「手に震えがきた」と桑田忠親の本に書いてあります。 「釜から汲みあげた柄杓の湯を天目茶碗に注…

茶の湯の心と形(9)

茶の湯にとって、「外面だけ見て」の是非善悪ジャッジや優劣評価は有害だと思いまして、そういうことは書きたい内容ではありますが、長文を要しますし、今回書きたいのは点前中に起きたアクシデントへの対応策ですから、今日はそのことについて続きを書きま…

茶の湯の心と形(8)

点前中に突然建水が壊れ、水が流れた ・ ・ ・ 時、最悪の対処法は、正客が泰然自若としていることだと思います。 そして、正客の社会的地位が高ければ高いほど、事態がさらに深刻化しますね。 なぜか? 正客が「ご立派な態度」ですと、次客以下はもちろん茶…

茶の湯の心と形(7)

親密な人ばかり二三人にお茶を差し上げる場合と違い、大勢の前で茶を点てるとか、特に社会的地位が高い方々にお茶を差し上げる場では、緊張するのも当然でしょうね、利休を客として上林竹庵が点前をした時、すっかり上がってしまい、茶杓を落としたり茶筅を…

茶の湯の心と形(6)

エリザベス女王に今の大宗匠が桂離宮で野点を行い、お茶を差し上げたのは昭和50年だったそうで、その映像も見ることができますね。 ところで、将軍足利義教は後花園天皇から病気見舞にお茶と(1)茶入、(2)茶碗、(3)水指を賜りましたので、義教の全…

茶の湯の心と形(5)

振袖のお嬢さんが点前中に、パンという音がして木地曲建水がはじけました。仙叟宗室250年忌茶会の時の話で、建水は一文字に伸び、水が流れたそうですが、「点前の令嬢は微動だもせず点前をつづけられた」ということです。 それで、「振袖姿のお点前は袖一…

変化してきた茶の湯(4)

昭和23年4月に金沢で行われた仙叟宗室250年忌茶会のことが、濱本宗俊の本に書いてあります。 支部長席に回った時の正客は淡々斎家元、次客が加賀前田家17代当主、筆者の濱本宗俊はずっと末席だったそうです。 さて、旧ソ連からの引揚船が初めて舞鶴…

変化してきた茶の湯(3)

茶の湯は、一座の人々と、ただこのように「いっしょに居るだけで楽しい」という心境が一番だと思う私です。 ・ ・ ・ が、そのことはひとまず置いときまして、前回書いた将軍義政の台子点前にも関連しますけど、室町時代の台子点前はとにかくたいへんだった…

茶の湯の心と形(4)

あるお家元の感想ですが、 「皆さんがあまりにお茶のことを堅く深刻に考え過ぎておられるように見える」 ・ ・ ・ んだそうです。 でも、「堅く」しなきゃいいとか、「深刻に」ならなきゃいいってことにはなりませんね。 なぜかと言いますと、「だらける」態…

茶の湯の心と形(3)

秀吉がある雪の夜、「今、釜を掛けている者がいるだろうか?」と利休に尋ねましたので、「針屋宗春が釜を掛けているでしょう」とお答えしましたら、秀吉は即刻針屋宗春のところに赴き、お茶を召し上がったという話があります。 (以下、参考まで ・ ・ ・ 「…

茶の湯の心と形(2)

「いっしょに心地良いひと時を過ごしたい」っていうのが、私の願いですね。 それで、居心地が悪くなるような要素は除きたいです。 さて私は、茶の湯がとっても好きですけど、足が痛くなることがあって困りものです。 そして、若い人や、もっと弱年の小中学生…

茶の湯の心と形(1)

映画「日日是好日」の中に、ヒロインの典子が柄杓を蓋置に引いて礼をする場面があります。 お客の役をしている美智子も礼をします。 もちろん、「先生に言われたから」そのとおりにするんです。 「言われたからそのとおり」というのでは、「主体性がない」と…

変化してきた茶の湯(2)

前回、総礼のことにちょっとだけ触れましたが、今日はもう少し書いてみます。 亭主が柄杓を蓋置に引いたら総礼 ・ ・ ・ という形が多く見られると思いますが、いくつかの流派では、薄茶でその総礼が行われませんね。 そういう流派の一つに属する浜本宗俊が…

変化してきた茶の湯(1)

前回、「言葉で伝える」ことには、正確性において限界があることを書きましたけど、割稽古ばかりに終始すると、いつの間にかそのやり方が定着しちゃうこともあるかなあなんて思いましたから、ちょっと書きます。 濃茶や薄茶を「それだけ分離」して「割稽古」…

言葉は不便で不十分

高田好胤のことを書いた高田都耶子の本に、高田好胤が都耶子の母に初めて会った時の話が紹介されてます。 修学旅行で薬師寺に来ていた都耶子の母は、その時18歳、写真を撮っていた彼女に、高田好胤は声を掛けました。 「カメラを撮るような女は嫌いだ。人…

その人間「丸出し」

高田都耶子の本に、父、高田好胤が、定期的にテレビに出演するようになった時の姿が書いてあります。 とにかく、「マイペース」だったと言います。 進行を指示するフロアディレクターの言うことでも、「意に沿わないこと」は無視していたんだそうです。 また…

茶人さまざま(4)

今回も松永耳庵の話題です。 十文字学園女子大学の池間里代子氏が、松永耳庵の「点前」に関することについて、おおよそ、次のように書いてますから紹介します。 耳庵は、点前について「一応」は習ったんだそうです。 でも「面倒だから」というわけで忘れてし…

茶人さまざま(3)

前回に続いて、今日は松永耳庵に関してです。 テレビ番組で、強羅公園元園長の田代道禰氏が、白雲洞茶苑を案内しながら次のように言ってました。 「その中で、お茶を習ったのは鈍翁だけなんです。 あとの二人はお茶ってのを習ったことがない。 それでいて大茶…