茶の湯 blog

茶の湯の魅力(私感です)

茶の湯の心と形(5)

振袖のお嬢さんが点前中に、パンという音がして木地曲建水がはじけました。
仙叟宗室250年忌茶会の時の話で、建水は一文字に伸び、水が流れたそうですが、「点前の令嬢は微動だもせず点前をつづけられた」ということです。

それで、「振袖姿のお点前は袖一つよけず茶を点てられた」というその姿に、次客の「前田旧侯爵も流石に茶道の修行の深さに感嘆の声を洩らされた」と濱本宗俊が書いてます。

「後で父君にいうと」と書いてあるのは、濱本宗俊が言ったのかどうかわかりませんが、「何も仕込んではおりませんが、ただ今日のこの光栄は一生に一度と思い命がけでせよと申しただけで、当然のことでございます。との言葉だった」と記してあることから、濱本宗俊は女性だからこそ、父君にお嬢様のことが聞けたのかなあ? ・ ・ ・ なんて想像したことでした。

さて、突然のアクシデント、もちろん想定外ですからね、感情が動くのは当然なんですけど、それでも感情に左右されることなく、落ち着いて常の点前を続けられたことについて、私の感想ですが、そういう態度ができたのは、「茶会の性質」とも関連していると考えるんですが、そのことについては次回に書きたいです。
さらに、私はそのお嬢様のことを、前田旧侯爵とは違う視点でもすばらしかったと思うことですが、それもこの次に。

最後に、曲建水を使う場合、綴じ目を「点前中は勝手付に向ける」流派がありますけど、そのアクシデントを知りまして、合理的だと思いました。