茶の湯の心と形(18)
茶道具の色のこと、今まで意識したことありませんでしたけど、黒楽や黒高麗のことを書いていて、そう言えば茶道具には黒いものがいっぱいあるなあと思いました。
でも、気付かなかったですね、色のことには関心がなかったのかもしれません、今まで。
棗も中次も真塗のをよく使いますが、「そんなもんだ」ってくらいの気持ちで、色のことには無関心でしたし、同じように炉縁も四方盆も天目台も黒が多いですけど、「そういうものだ」って感覚だったし、長板や台子なんかも同じで、「黒でない」場合のほうが、かえって目立つというか、注意が引きつけられますね、私の場合。
「そういう色なんだ」と、すっかりなじんじゃってるんだなあと、「気持ちの不思議さ」を思いました。
懐石家具だって黒いのがいっぱいあると、今、思ったわけでして、アノ、蒔絵が見事なんてことでしたら印象に残るでしょうが、真塗や溜塗だったら、たいして意識してないってこと、あるだろうと感じます。
反対に、向付や鉢などの陶磁器は、懐石家具より注意を引くと思います。
でも、なぜか引盃の朱色だけはとっても印象的なのが不思議です、私の場合。
それでいながら、「盃台は何色だっけ?」って、実際に取り出して見ないと疑問解決にならない程度ですから、「どこに意識が向くのか」という心理状態は、自分のことながら、わけがわからないことです。