茶の湯 blog

茶の湯の魅力(私感です)

茶の湯の心と形(19)

茶碗の色で「黒」というのは、私はどうも特別な感じがします。

で、外側がカラフルだから黒い茶碗じゃないんですけど、内黒のもありまして、そうしますと、感覚的に「あれっ!」と思っちゃいますね、私は、マア、持ってるから使ってる碗がありますけど。

 

黒と言っても漆器なら、総黒でも黒内朱でも「美しいなあ」と思うばかりで、茶碗の黒のようなドッキリ感はない私でして、ですから「茶碗の」黒っていうのは、私にとっては「普通でない」感じがするんですね、マア、保熱を理由に松楽窯、漆黒の筒茶碗は使ってますけど。

 

それで、漆器なら黒は普通というか、目が慣れてますけど、うちの食器棚には陶磁器の黒というのはありませんで、やっぱり焼物の食器が黒一色だったら、私としては異様な感じがすると思うんですけど、実際にはうちにありませんから想像だけなんですが、黒い皿や鉢があったとしても買わないですね、私は。

 

ところで、秀吉は黒茶碗を嫌がったみたいで、神谷宗湛の記述によれば、天正18年、利休は「茶ノ後ニ、又、内ヨリ、セト茶ワン持出テ、台子ノ上ノ黒茶碗ニ取替ラルヽ」と書いてるみたいですが、続いてその理由を、「黒キニ茶タテ候事、上様御キライ候ホドニ」というわけで、「上様」というのは秀吉のことですね。

 

・ ・ ・ 黒い茶碗を好しとする利休、そういうのは嫌いな秀吉、それぞれ個性があるんですから、それは「それでいい」わけなんですけど、「意地を通せば窮屈だ」って小説の中に書いてあるのはそのとおりでして、だから「通さなくていいんだ、意地なんて」と思う私なんですけど、続きは次回に。